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アナログオーディオ大全

2026.08.21
アナログ講座・基礎編
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レコード針のお手入れについて Vol.2 除電編

本ページでは、レコード針(カートリッジ)のお手入れ方法と、それに用いるクリーニング/除電用アクセサリーについて解説を行います。

カートリッジやレコード盤のお手入れに関する基礎的な内容の解説ページもございますので、先に「レコード針のお手入れについて Vol.1 基礎編」「レコード盤について Vol.4 クリーニング(洗浄)編のお目通しをお勧めします。

カートリッジ針先(スタイラス)のお手入れについて

カートリッジのスタイラスがレコード盤面に接触している時の様子

レコード針(カートリッジ)は、針先部分(スタイラスチップ)の先端がレコード盤の音溝表面をなぞることで電気信号を発生させ、音楽を鳴らします。上の3D図はレコード再生中の針先部分を模式的にあらわしたもので、レコード盤面にスタイラスチップ先端が直接触れていることがわかります。

そのため、レコード盤面やスタイラスチップの先端にゴミやホコリが付着したり、それらが積み重なって固まるなどした場合は異物を巻き込んだまま再生してしまうため、レコード盤にとってもカートリッジにとっても好ましいものではありません。これを放置すると、大切なレコード盤を痛めてしまったりカートリッジの寿命を大幅に縮めるなどの実害にもつながります。

こういった事態を避けるため、レコードの盤面とスタイラスチップの先端は常に付着物のない、奇麗な状態を保つことが必須となります。

そのためにはまず、レコード盤のクリーニングを行うことが重要です。

盤面のクリーニングと除電を同時に行う、Record brush

レコード盤面にゴミやホコリなどの異物が付着しておらず奇麗な状態であれば、スタイラスチップ先端にこれらの異物が付着する可能性も大幅に下がります。このため、オルトフォンでは盤面のクリーニングと静電気の除去を同時に行える「Record brush」をラインナップし、レコード盤面のお手入れへの活用を推奨しています。

塩化ビニルを主原料としているレコード盤は、素材の性質から静電気を帯びやすい傾向にあります。この状態を「帯電」と呼び、帯電したレコード盤は空気中の細かなゴミやホコリを引き寄せやすくなります。また、レコード再生を行った際に発生する「パチパチ」というノイズが大きくなるなどの弊害もあるため、このRecord brushなどを用いて小まめな静電気除去(除電)を行うことを推奨します。

特にレコード盤をジャケットのビニール製内袋から出す時などには、「剥離帯電」による静電気発生がみられます。ビニール製の内袋からレコード盤を出すと、それぞれを離す(剥離する)タイミングで静電気が発生します。乾燥した冬場にセーターなどを脱ぐとパチパチという音がすることと同じ現象であり、内袋から出したレコード盤は既に帯電しているものと考えた方がよいでしょう。

このままレコード再生を行うと静電気由来のノイズがより大きくなるため、対策としては

①:除電効果をもつRecord brushなどで静電気を除去してからレコード再生を行う

②:レコード盤の内袋をビニールから紙製のもの、もしくは除電効果をもつ素材の内袋に交換する

などが挙げられます。これに関しては、①と②の併用でより一層効果のある静電気対策となります。

Degritter MkⅡを用いた超音波洗浄

また、レコード盤面のクリーニングと除電をさらに徹底させる方法として、超音波洗浄機を用いることもあわせて推奨しています。上の写真はエストニアDegritter OÜ社製の「Degritter MkⅡ」で、高周波の超音波をハイパワーで出力することで、きめ細かく強力な洗浄を可能としています。

超音波洗浄機は動作時に水を必要とするため、レコード盤を洗浄槽内の水に浸けるプロセスを要します。この時、レコード盤に溜まっていた静電気は水中に放出されるため盤の除電がより徹底して行われ、洗浄水を介して盤面に当てられた超音波のエネルギーでゴミやホコリは落とされ、固着していた異物も剥がすことができます。

レコード盤面が奇麗な状態であれば、カートリッジのスタイラスに付着するゴミやホコリは劇的に減少します。しかしながら、レコード再生中に盤面へと付着する異物を防ぐことは事実上不可能につき、再生が終わった後には盤面に接触していたカートリッジ針先にも異物が付着してしまいます。

そのため、カートリッジの針先クリーニングもまた重要なメンテナンスのひとつとなります。スタイラスチップのクリーニングを小まめに行うと、針先に付着した異物を速やかに除去することができます。このことは、異物が時間経過で針先に固着する前に取り除くことを可能とするものでもあります。

レコードを再生して、針を上げる度に必ずクリーニングをせねばならないということはありませんが、盤面の状態が芳しくないものでは盤の裏表(1枚)程度、盤面が奇麗なものであれば2~3枚程度までの間に一度くらいの頻度で針先クリーニングを行うことを推奨します。

また、レコード盤は新品未開封のものであっても、プレス時の剥離に際して付着したカスや剥離剤などが盤面に残っている場合があります。これらは針先に付着しやすく、放置すると除去が難しくなることがあるため注意が必要です。新品の盤を再生する際は、このことにも留意するようにしましょう。

下の動画は、本邦におけるアナログ研究の第一人者である海老沢 徹 先生が、スタイラスチップのクリーニング時の注意点について解説しているものです。上述の内容についても詳しく述べられておりますので、あわせてご参照ください。


Ⅰ.クリーニング同様に重要な、針先の「除電」

カートリッジを盤面に降ろしてレコード再生を行うと、針先にはゴミやホコリなどが付着してしまいます。これはレコード盤面に刻まれた音溝をスタイラスチップ先端がなぞる(トレースする)ことで電気信号を発生させている以上、先端部分への異物付着を避けることは不可能です。針先クリーニングは、この異物を小まめに除去することで針先の状態を良好に保つことを目的としています。

その上で、盤面とスタイラス先端が接触して音溝をトレースしていると、その摩擦で静電気が発生してレコード盤やカートリッジ針先を帯電させます。これを「摩擦帯電」と呼び、先に述べた剥離帯電とは発生原因が異なります。摩擦帯電はレコードの再生中に発生するため、再生終了後のレコード盤も基本的に帯電しています。よって、内袋から出した際の剥離と再生中の摩擦でレコード盤はどうしても帯電するため、再生する前にはクリーニングと除電を兼ねたブラッシングを行うことが理想的といえます。

なお、この摩擦帯電によってカートリッジも帯電しているため、レコード盤だけを除電しても完全とは言えません。静電気は、帯電したもの(この場合、カートリッジ)を帯電していないもの(レコード盤)に接触させるだけでも相手方を帯電させます。これを「接触帯電」と呼び、除電したレコード盤に帯電したカートリッジの針先を触れさせる、もしくはその逆でも発生します。

これを避けるためには、レコード盤だけでなくカートリッジ針先もあわせて除電することが重要となります。カートリッジを帯電させたまま使用すると、通常よりも細かなゴミ・ホコリの吸着を促進させるため、結果的にみるとカートリッジの寿命を大幅に削ります。また、帯電状態のカートリッジはノイズ源である静電気を帯びているため、S/N感が大きく損なわれます。小まめな除電を行うことで、カートリッジ針先への異物付着を軽減させるとともに、帯びていたノイズ源がなくなることで本来のクリアな音色を取り戻します。

このため、レコード盤とカートリッジは双方ともに小まめな除電を行うことで、より高品位な音楽再生を行うことが可能となります。

Ⅱ.クリーニング、除電、保管を一括化したRSCK-1

針先のクリーニング・除電とカートリッジ保管が可能なRSCK-1

ここまでに述べたとおり、レコード盤面とカートリッジ針先のクリーニング・除電は小まめに行うことが理想的です。

オルトフォンは、レコード盤側のクリーニング・除電用ブラシである「Record brush」とともにカートリッジ針先側のクリーニング・除電を行うためのアクセサリー「RSCK-1」をラインナップすることで、盤面・針先の双方を良好な状態に保つことを推奨しています。

この製品は、カートリッジの針先クリーニング・除電用ブラシと、作業台と保管のためのウッドケースのセットで構成されています。これらの特徴を以下に解説してゆきます。


・針先クリーニングと除電のためのブラシ

Ortofon RSCK-1のクリーニング・除電用ブラシ

RSCK-1のウッドケース内に収められたブラシは小さな筆状の形をしており、カートリッジ針先をクリーニングする際にはヘッドシェルをトーンアームから外して針先を仰向けにしてからブラッシングを行うことを想定したものとして開発されました。

これは先に挙げた海老沢先生のYouTube動画でも述べられているように、スタイラスチップやカンチレバーを目視可能な状態で行うことが可能なため、安全かつより緻密なクリーニング方法として理想的なものといえます。

サンダーロン®を配合した、ブラシの穂先

ブラシの穂先には導電性素材のサンダーロン®を配合しており、金色のブラシ口金に素手で触れたままブラッシングを行うことでカートリッジ針先に溜まった静電気を人体に逃がすことができます。

そのため、口金に素手で触れたままブラッシングを行うと、針先クリーニングと除電を同時に行うことができます。

・作業台・保管用のウッドケース

RSCK-1のウッドケースにカートリッジを装着した様子

カートリッジを仰向けにしてブラッシングを行うという本製品の性質を鑑み、オルトフォンはRSCK-1のウッドケースにヘッドシェル装着用金具と、シェルに取り付けたカートリッジ1本を収納するためのスペースを設けました。

そのため、ウッドケースは(ヘッドシェルに装着した)カートリッジを仰向けに固定して安全にブラッシングを行うための作業台としての役目と、スタイラスカバー装着済のカートリッジを保管するためのケースとしての役目も担っています。


Ⅲ.RSCK-1のブラシ使用時のご注意

・他用途への転用、ブラシ先端部分の付着物

RSCK-1のブラシは、カートリッジ針先のクリーニングと除電を目的とした製品です。他用途への転用はお控えください。なお、他用途での使用後にブラシをカートリッジ針先に触れさせることもお控えください。特にブラシ先端に鉄粉が付着したままカートリッジに触れた場合、カートリッジの磁気回路や振動系に鉄粉が混入してカートリッジを故障させる可能性が極めて高くなります。


・乾式での使用を前提としているため、ブラシに液体を付着させない

RSCK-1付属ブラシの毛束には、有機導電性繊維のサンダーロン®を使用しています。このブラシは乾燥した状態で導電性をもち、水や湿式スタイラスクリーナーの併用を想定しておりません。RSCK-1の付属ブラシは、必ず乾燥した状態でご使用ください。また、オルトフォンの全カートリッジは湿式スタイラスクリーナー液や同種レコードクリーナー液などの使用による針先ダメージを全て製品保証の対象外としております。RSCK-1のブラシとオルトフォンのカートリッジをご使用の際は、湿式スタイラスクリーナー液や同種レコードクリーナー液などを使用しないでください。


・力任せにブラシを針先に当てたり、口金を針先に接触させたりしない

RSCK-1のブラシは、カートリッジの針先に接触させるという用途を考慮して柔らかく細い毛を使用しています。しかし、力任せにカートリッジ針先にブラシを当てたり、金属の口金部分を針先に接触させるとカンチレバーやスタイラスチップ破損の原因となります。カートリッジ針先に本製品のブラシを当てる際は、必ずブラシ穂先部分のみを当ててください。


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